そこにある過去
「白くて素敵でしょう」先生は太い眉毛をモッサリと下ろして微笑んだ。
授業はいつも適当で
「すきなものを書いてください」と言い自分の部屋の戻っていった。
ここぞと睡眠をとる夜遊び好きの子。
受験勉強にいそしむ子、マンガを読む子。
だれも絵なんて書いていなかった。
コイルは絵が好きだったので、いつも樹の絵を描いていた。
枝が好きだった。
いつもスケッチブックをはみ出してどこまでも伸びてる枝。
それは巨大迷路のようで、それをみた両親をいつも困惑させた。
「なんで樹ですかね」先生はコーヒーを片手にコイルの絵を見た。
巨大迷路は好きです。カップに手を伸ばして先生のコーヒーを勝手に飲んだ。
「苦いですよ」
一口のんで気がついていた。ブラックだった。
美術準備室は、コーヒーと油絵のオイルの香で落ちついた。
学校をサボっても、部屋には顔を出した。
「授業に居なかったのに」
なんでですかね。勝手に冷蔵庫から豆を出して
棒のようなカタチで、持つ部分がクッと閉まっているミルで豆を挽いた。
「一番いい豆なのに」
太い指を伸ばして、コイルの手に触れた。
指先はガサリと音がするほど荒れていた。
爪先に入った絵の具が一瞬見えた。
コイルが卒業するときに
先生は、美術準備室にあったコーヒーミルをくれた。
それは卒業から13年たった今も、部屋にある。
「このミル、古くて良いね」今日も相方はそれを使ってコーヒーを入れる。
良いでしょう?
丁度二人前。先生とコリルのコーヒーが入れられるミルで。
授業はいつも適当で
「すきなものを書いてください」と言い自分の部屋の戻っていった。
ここぞと睡眠をとる夜遊び好きの子。
受験勉強にいそしむ子、マンガを読む子。
だれも絵なんて書いていなかった。
コイルは絵が好きだったので、いつも樹の絵を描いていた。
枝が好きだった。
いつもスケッチブックをはみ出してどこまでも伸びてる枝。
それは巨大迷路のようで、それをみた両親をいつも困惑させた。
「なんで樹ですかね」先生はコーヒーを片手にコイルの絵を見た。
巨大迷路は好きです。カップに手を伸ばして先生のコーヒーを勝手に飲んだ。
「苦いですよ」
一口のんで気がついていた。ブラックだった。
美術準備室は、コーヒーと油絵のオイルの香で落ちついた。
学校をサボっても、部屋には顔を出した。
「授業に居なかったのに」
なんでですかね。勝手に冷蔵庫から豆を出して
棒のようなカタチで、持つ部分がクッと閉まっているミルで豆を挽いた。
「一番いい豆なのに」
太い指を伸ばして、コイルの手に触れた。
指先はガサリと音がするほど荒れていた。
爪先に入った絵の具が一瞬見えた。
コイルが卒業するときに
先生は、美術準備室にあったコーヒーミルをくれた。
それは卒業から13年たった今も、部屋にある。
「このミル、古くて良いね」今日も相方はそれを使ってコーヒーを入れる。
良いでしょう?
丁度二人前。先生とコリルのコーヒーが入れられるミルで。



